第164章 一抹の罪悪感

一条星夜がハンドルを握る手に、一瞬、力がこもった。

しかし、続く橘凛の言葉がその緊張を解きほぐす。

「マモリ、今日一日ずっと留守番だったから、迎えに行くわ。ミナトもあの子のこと、気に入ってるでしょう? 一緒に連れて行く」

一条星夜の強張っていた口元が瞬時に緩み、微かだが、愉悦に満ちた笑みが浮かんだ。

彼は頷き、低く温かみのある声で応える。

「ああ。俺とミナトで、家で待ってる」

車は走り続け、窓外の景色が飛ぶように後方へと流れていく。

一条星夜の心もまた、雲が晴れていく空のように、静かに澄み渡っていった。

黒塗りのセダンが、帝都大学の正門前で滑らかに停車した。橘凛はシートベルト...

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